簿記3級では、一般的な借り入れや貸し付けの他に手形によるものや、役員に対するものがあります
では、詳しくみていきましょう
手形による借入れと貸し付け
お金の貸し借りにおいては、借用証書を作成するのが一般的ですが、借用証書の代わりに約束手形を使用することがあります
約束手形は、期日にお金を支払うことを約束する証券なので、借用証書と同じような効力があります
下のイラストをみてみましょう
このような場合、商品売買における約束手形の振出とは区別して仕訳します
商品売買の時はどんな科目でしたか?
振り出したら支払手形(負債)
受け取ったら受取手形(資産)
です
これに対して
お金を貸し借りするために
振り出したら手形借入金(負債)
受け取ったら手形貸付金(資産)
という科目で仕訳します
手形借入金の仕訳
借り入れのために手形を振り出した時は、
手形借入金で仕訳します
手形借入金は、手形の満期にお金を支払う義務なので負債です
負債は増えたら貸方です
負債のホームポジション | |||
借 方 B/S 貸 方 | |||
資 産 | 負 債 | ||
資 本 | |||
減ったら借方 | 増えたら貸方 | ||
約束手形による借り入れの仕訳
次の例題をみてみましょう
2/1
当社はすずな(株)より現金1,000円を借り入れ、約束手形を振り出した
借り入れのために手形を振り出したので、
手形借入金(負債)を増やします
仕訳と勘定への記入は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
2/1 | 現金 資産+ | 1,000 | 手形借入金 負債+ | 1,000 |
現 金 | 手形借入金 | |||||
2/1 手形借入金 1,000 | 2/1 現金1,000 |
借方は現金(資産)を増やします
手形借入金を返済した時の仕訳
次の例題をみてみましょう
5/1
当社は借入れのために振り出した約束手形が満期日を迎えたため、当座預金口座から1,000円が支払われた旨の連絡を銀行から受け取った
手形の満期日が来たので、手形借入金(負債)を減らします
仕訳と勘定への記入は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
5/1 | 手形借入金 負債ー | 1,000 | 当座預金 資産ー | 1,000 |
手形借入金 | 当座預金 | |||||
5/1 当座預金1,000 | 5/1 手形借入金 1,000 |
借方は当座預金(資産)を減らします
手形貸付金の仕訳
貸し付けによって手形を受け取った時は
手形貸付金で仕訳します
手形貸付金は、手形の満期にお金を返してもらう権利なので資産です
資産は増えたら借方です
資産のホームポジション | |||
借 方 B/S 貸 方 | |||
資 産 | 負 債 | ||
資 本 | |||
増えたら借方 | 減ったら貸方 | ||
約束手形による貸し付けの仕訳
次の例題をみてみましょう
2/1
当社はなずな(株)に現金1,000円を貸し付け、同社振出の約束手形を受け取った
貸し付けによって手形を受け取ったので
手形貸付金(資産)を増やします
仕訳と勘定への記入は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
2/1 | 手形貸付金 資産+ | 1,000 | 現金 資産ー | 1,000 |
手形貸付金 | 現 金 | |||||
2/1 現金 1,000 | 2/1 手形貸付金 1,000 |
貸方は現金(資産)を減らします
手形貸付金の返済を受けた時の仕訳
次の例題をみてみましょう
5/1
当社は貸付のために受け取った約束手形が満期日を迎え、1,000円が当座預金口座に入金された旨の連絡を銀行より受け取った
手形の満期日が来たので、手形貸付金(資産)を減らします
仕訳と勘定への記入は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
5/1 | 当座預金 資産+ | 1,000 | 手形貸付金 資産ー | 1,000 |
当座預金 | 手形貸付金 | |||||
5/1 手形貸付金 1,000 | 5/1 当座預金1,000 |
借方は当座預金(資産)を増やします
役員借入金と役員貸付金の仕訳
役員とは、会社の経営において責任を持つ役職に就いている人のことです
具体的には社長や取締役、監査役などの人です
企業は役員に対して、お金の借入れや貸付けを行う場合があり、一般的な借入金・貸付金とは区別して処理します
役員から借り入れた時は、
役員借入金(負債)で仕訳します
負債は増えたら貸方です
負債のホームポジション | |||
借 方 B/S 貸 方 | |||
資 産 | 負 債 | ||
資 本 | |||
減ったら借方 | 増えたら貸方 | ||
役員に貸し付けた時は、
役員貸付金(資産)で仕訳します
資産は増えたら借方です
資産のホームポジション | |||
借 方 B/S 貸 方 | |||
資 産 | 負 債 | ||
資 本 | |||
増えたら借方 | 減ったら貸方 | ||
役員から借り入れた時の仕訳
次の例題をみてみましょう
6/1
社長から現金1,000円を借り入れた
役員から借り入れたので、
役員借入金(負債)を増やします
仕訳と勘定への記入は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
6/1 | 現金 資産+ | 1,000 | 役員借入金 負債+ | 1,000 |
現 金 | 役員借入金 | |||||
6/1 役員借入金 1,000 | 6/1 現金 1,000 |
借方は現金(資産)を増やします
役員借入金を返済した時は、役員借入金(負債)を借方に仕訳して、減らします
役員に貸し付けた時の仕訳
次の例題をみてみましょう
7/1
監査役に現金1,000円を貸し付けた
役員に貸し付けたので、
役員貸付金(資産)を増やします
仕訳と勘定への記入は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
7/1 | 役員貸付金 資産+ | 1,000 | 現金 資産ー | 1,000 |
役員貸付金 | 現 金 | |||||
7/1 現金 1,000 | 7/1 役員貸付金 1,000 |
貸方は現金(資産)を減らします
役員貸付金の返済を受けた時は、役員貸付金(資産)を貸方に仕訳して、減らします
【確認問題】
仕訳してみましょう
当社は、約束手形を振り出して現金10,000円を借り入れ、当座預金に預け入れた
以前に社長へ貸し付けていた現金20,000円の返済を受け、普通預金に預け入れた
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