簿記の勉強を始めたいと思うけど、簿記って、全く勉強したことがないけど大丈夫かな?
簿記は、義務教育で学ぶわけではないので、イメージがつかみにくく、難しそうだと思う方も多いかもしれませんね
例えば、算数で考えてみると、数え方から初めて、足し算、掛け算というように、勉強を進めるにつれて難しい事ができるようになります
簿記も同じです
この記事では、最初に知っておきたい基礎知識を解説していきます
簿記とは何のためにあるのか
企業と利害関係者
企業とは、商品売買業、サービス業、製造販売業などの営業活動を行う組織です
営業活動とは
お金を調達したり、商品を売ったりするなどの活動です
また、このような営業活動において、企業をとりまく全ての人を利害関係者といいます
具体的には次のような人達です
- 商品の仕入先や、販売先の企業
- お金を貸してくれている銀行
- 企業に出資してくれる株主 など
利害関係者の人達は、企業と安心して取引したいので、企業の情報を知りたいと思っています
利害関係者は
貸したお金が返ってくるか?
ちゃんと配当がもらえるか?
などの情報を求めています
簿記の目的
では、利害関係者にどのような情報を提供すればよいのでしょうか
利害関係者は、安心して取引するため、次の2つの情報を求めています
- お金や借入れなどがいくらあるか
- 営業活動の結果、もうけはいくらか
1を財政状態
2を経営成績といいます
この2つを、書類によって明らかにすることが、簿記の目的です
財政状態や経営成績を明らかにするには
企業が、財政状態や経営成績を明らかにするためには、日や期間を決めなければなりません
この日の財政状態
この期間の経営成績ということです
では、この日・この期間とはどのように決められるのでしょうか
財政状態や経営成績を明らかにするための期間
企業は、消滅することではなく、永続的に存続することを前提に活動しています
そのため、定期的に期間を区切って、その期間ごとに財政状態や経営成績を明らかにしなければなりません
この期間のことを会計期間といい、通常1年間です
下の図を見ていきましょう
このように、会計期間の始まりを期首、終わりを期末(決算日)といいます
また、現在の会計期間を当期、1つ前の期間を前期、1つ後の期間を次期(翌期)といいます
よって、決算日を迎えたら、期末時点での財政状態と会計期間の経営成績を、書類を作成して明らかにしていきます
期末と決算日は同じ日です
では、財政状態や経営成績について、もう少し詳しくみていきましょう
財政状態や経営成績を構成する要素
企業が営業活動を行うと、会計期間中、毎日様々な取引がおこります
例えば
- 取引先にお金を貸す
- 社屋を買う
- 銀行からお金を借りる
- 開業のための資金を集める
- 商品を販売する
- 商品を仕入れる
これはほんの一部で、たくさんの取引があります
企業は、このような取引が起こるたびに帳簿に記入していきます
帳簿には取引が起こった日や勘定科目、金額などをを記入していきます
勘定科目とは、帳簿に記入する時の科目のことで、例えば、「お金」は「現金」という勘定科目、「借入れ」は「借入金」という勘定科目で記入します
取引が起こると、現金・貸付金・建物・借入金・仕入・売上など、たくさんの勘定科目が出てきます
これらの勘定科目は資産・負債・資本・収益・費用の5つのグループのどれかに属していて、これを簿記の5要素といいます
次の表をみてみましょう
勘定科目 の例 | 内 容 | 5要素 (グループ) |
---|---|---|
現金 貸付金 建物 | 現金や、現金に変えることができるもの | 資産 |
借入金 | お金を返すべき義務 | 負債 |
資本金 | 資産から負債を引いた純資産 | 資本 |
売上 | 商品などを販売して得る収入 | 収益 |
仕入 | 収益を得るための支払い | 費用 |
例えば、現金・貸付金・建物などは資産というグループに属しています
- 財政状態とは、期末時点での現金などの資産から、返すべき負債を差し引いた財産の状態をいいます
- 経営成績とは、売上などの収益から、仕入れなどの費用を差し引いた利益(もうけ)をいいます
財政状態や経営成績を明らかにする書類
書類の解説に入る前に、借方と貸方についてみていきましょう
借方と貸方とは
例えば、次のような場合、
帰宅後持っているお金は
いくらになるでしょう
あなたは、朝、1,000円持っていて散歩に行き、途中で祖父に会い500円もらいました。
お菓子屋さんがあったので300円のお菓子を買って、隣の文具屋さんで500円使い、帰りに祖母に会って1,000円もらって、帰宅しました。
増えたり減ったり
していて、計算
しにくいな…
簿記では、下のイラストのように帰宅後の所持金を計算するために、増加と減少を整理して計算していきます
整理しやすいように、帳簿(ノート)のページを左右に分けた時、左側を借方、右側を貸方と呼びます
B/S 貸借対照表とは
貸借対照表とは
Balance Sheet : B/Sと呼ばれる書類で、期末時点での資産・負債・資本が表示されています
B/Sを簡略化すると次のようになります
B/S(貸借対照表) | |
借 方 | 貸 方 |
資 産 | 負 債 (返す) |
資 本 (純資産) |
借方に資産
貸方に負債と資本です
資産・負債・資本の間には次のような関係が成り立ちます
- 資産 ー 負債 =資本
- 資産 = 負債 + 資本
資産のうち、返済すべき負債を差し引いた部分を資本といい、純資産とも呼ばれます
B/Sは、期末時点での資産・負債・資本の状態、つまり、財政状態を表す書類です
P/L 損益計算書とは
損益計算書とは
Profit and Loss Statement : P/Lと呼ばれる書類で、会計期間の収益と費用が表示されています
P/Lを簡略化すると次のようになります
P/L(損益計算書) | |
借 方 | 貸 方 |
費 用 | 収 益 |
利 益 (もうけ) |
借方に費用
貸方に収益です
収益・費用の間には次ような関係が成り立ちます
収益 ➖ 費用 = 利益
収益よりも費用が多ければ、利益ではなく損失となります
P/Lは、収益から費用を差し引いて利益を計算する書類で、会計期間の経営成績を表しています
資産は借方…
収益は貸方…
なぜ?と思うかもしれませんが、ルールとして覚えましょう
長い時間をかけ、改良を重ねた結果、今の簿記の仕組みがあります
その過程で、出来上がったルールだということです
簿記とは、財政状態や経営成績を明らかにするため、毎日の取引の事実を帳簿に記入することであり、そのゴールは、貸借対照表や損益計算書を作成することなのです
【確認問題】
次の文の( )にあてはまる語句を答えましょう
- 一定期間の経営成績を表す書類を(①)といい、(②)から(③)を差し引いてこの期間の利益を計算する
- 一定時点での財政状態を表す書類を(①)といい、(②)から(③)を差し引いた額を純資産という
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