商品の注文は、簿記の5要素に増減がないので、簿記上の取引ではありません
ですが、商品の注文時に、注文のキャンセルなどを防ぐため、代金の一部を支払うことがあります
その場合は、簿記の5要素に増減が起こるので、簿記上の取引となり、仕訳や転記が必要となります
手付金と内金の仕訳における取引の流れ
手付金とは
手付金とは、商品を注文する時に支払う代金の一部をいいます
手付金は商品の買い手側が支払うお金です
内金とは
内金とは、商品の注文を受けた時に受け取る代金の一部をいいます
手付金は商品の売り手側が受け取るお金です
手付金と内金が発生する取引の流れ
手付金と内金が発生する取引の流れは、下のイラストのようになります
① 商品の注文
買い手側が、商品を注文します
注文だけでは、簿記上の取引になりません
② 代金の一部を支払う
買い手側は、商品代金の一部を支払います
商品はまだ届いていませんが、代金の一部を払ったので、簿記上の取引として仕訳や転記を行います
③ 商品が届く
買い手側は、商品を受け取り、残りの代金を支払います
手付金と内金の仕訳で使用する勘定科目
手付金は前払金で処理する
手付金は前払金で仕訳します
手付金を払うと商品を購入する権利が発生するので、前払金は資産です
資産は増えたら借方です
資産のホームポジション | |||
借 方 B/S 貸 方 | |||
資 産 | 負 債 | ||
資 本 | |||
増えたら借方 | 減ったら貸方 | ||
内金は前受金で処理する
内金は前受金で仕訳します
内金を受け取ると、商品を販売する義務が発生するので、前受金は負債です
負債は増えたら貸方です
負債のホームポジション | |||
借 方 B/S 貸 方 | |||
資 産 | 負 債 | ||
資 本 | |||
減ったら借方 | 増えたら貸方 | ||
手付金と内金の仕訳を流れに沿って解説
では、手付金の仕訳を流れに沿ってみていきましょう
手付金の支払いと商品受け取りの仕訳
① 手付金を支払った時の仕訳
次の例題をみてみましょう
5/1
当社は、商品1,000を注文し、手付金として200円を現金で支払った
手付金を支払ったので、前払金(資産)を増やします
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
5/1 | 前払金 資産+ | 200 | 現金 資産ー | 200 |
前 払 金 | 現 金 | |||||
5/1 現金 200 | 5/1 前払金 200 |
貸方は現金(資産)を減らします
② 商品を受け取った時の仕訳
次の例題をみてみましょう
6/1
当社は、5/1に注文した商品1,000円を受け取り、手付金200円を差し引いた残額は掛けとした
商品を受け取ったので、前払金(資産)を減らします
仕訳と勘定への記入は次のようになります
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
6/1 | 仕入 費用+ | 1,000 | 前払金 資産ー | 200 |
買掛金 負債+ | 800 |
仕 入 | 前 払 金 | |||||
6/1 諸口 1,000 | 6/1 仕入 200 | |||||
相手勘定科目は 前払金と買掛金です |
買 掛 金 | ||||||
6/1 仕入 800 |
借方は仕入(費用)を増やします
貸方は残額分の買掛金(負債)を増やします
もう一度、前払金勘定をみてみましょう
前 払 金 (増えたら借方) | |
5/1 現金 200 | 6/1 仕入 200 |
手付金として支払った | 商品が届いたので減らした |
借方と貸方に同額が記入されているので 残高は0になります |
前払金は
商品を受け取ると、残高はなくなります
内金の受け取りと商品引渡しの仕訳
次に、内金の仕訳を流れに沿ってみていきましょう
① 内金を受け取った時の仕訳
次の例題をみてみましょう
5/1
すずな(株)は、商品1,000の注文を受け、内金として200円を現金で受け取った
内金を受け取ったので、前受金(負債)を増やします
仕訳と勘定への記入は次のようになります
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
5/1 | 現金 資産+ | 200 | 前受金 負債+ | 200 |
現 金 | 前 受 金 | |||||
5/1 前受金 200 | 5/1 現金 200 |
借方は現金(資産)を増やします
② 商品を引き渡した時の仕訳
次の例題をみてみましょう
6/1
すずな(株)は、5/1に注文をうけた商品1,000円を引き渡し、内金200円を差し引いた残額は掛けとした
商品を引き渡したので、前受金(負債)を減らします
仕訳と勘定への記入は次のようになります
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
6/1 | 前受金 負債ー | 200 | 売上 収益+ | 1,000 |
売掛金 資産+ | 800 |
前 受 金 | 売 上 | |||||
6/1 売上 200 | 6/1 諸口 1,000 | |||||
売上の相手勘定科目は 前受金と売掛金です |
売 掛 金 | ||||||
6/1 売上 800 |
借方は残額分の売掛金(資産)を増やします
貸方は売上(収益)を増やします
もう一度、前受金勘定をみてみましょう
前 受 金 (増えたら貸方) | |
6/1 売上 200 | 5/1 現金 200 |
商品を渡したので減らした | 内金として受け取った |
借方と貸方に同額が記入されているので 残高は0になります |
前受金は
商品を引き渡すと、残高はなくなります
【確認問題】
仕訳してみましょう
当社は、商品2,000を注文し、手付金として400円を現金で支払った
当社は、以前注文をうけた商品2,000円を引き渡し、内金400円を差し引いた残額は、先方振り出しの小切手で受け取った
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