商品売買において、取引先が遠方であるなどの理由で、商品の移動のための費用がかかることがあります
今回は、商品の移動のための費用について学びます
諸掛りとは
諸掛りとは、商品が移動する時にかかる費用のことです
例えば、
- 商品の梱包代
- 運送代
- 商品にかける保険料
などがこれにあたります
諸掛りは、商品売買における買い手側と
売り手側とで次のように区別しています
買い手側 | 仕入にかかる引取費用など | 仕入諸掛り |
売り手側 | 売り渡しにかかる発送費など | 売上諸掛り |
また、引取費用などは、商品仕入だけではなく、商品以外のものを購入した時にもかかる場合があります
例えば、建物や車両などです
商品に限らず、物を買った時にかかる引取費用などを付随費用と言います
下の表をみてみましょう
仕入にかかる引取費用など | 仕入諸掛り | |
商品以外の物を購入した時の 引取費用など | 付随費用 |
付随費用のうち、商品仕入にかかるものを仕入諸掛りといいます
仕入諸掛りを払った時の仕訳
仕入諸掛りは、当社が負担する場合と、先方が負担する場合があります
問題に指示がない限りは、当社負担です
では、詳しくみていきましょう
当社負担の仕入諸掛りを支払った時の仕訳
仕入諸掛りを支払った時は、仕入額に含めて仕訳します
次の例題をみてみましょう
3/1
商品1,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
なお、引取費用100円を現金で支払った。
引取費用は仕入諸掛りです
商品を仕入れたので
仕入(費用)を増やします
この時、仕入諸掛りを仕入に含めます
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
3/1 | 仕入 費用+ | 1,100 諸掛り 込み | 買掛金 負債+ | 1,000 |
現金 資産ー | 100 |
仕 入 | 買 掛 金 | |||||
3/1 諸口 1,100 | 3/1 仕入 1,000 | |||||
仕入の相手勘定科目は 買掛金と現金です |
現 金 | ||||||
3/1 仕入 1,000 |
貸方は商品代金分の買掛金(負債)を増やし、
引取費用分の現金(資産)を減らします
先方負担の仕入諸掛りを払った時の仕訳
契約により、仕入諸掛りを先方(相手先)が負担する場合があります
この場合、次の2つの処理方法があります
処理方法 | 結 果 | |
---|---|---|
買掛金(負債)から差し引く | 負債が少なくなる | 支払う額は同じ |
立替金(資産)で処理する | 資産が増える | (結果は同じ) |
処理方法が違うだけで、結果は同じということです
次の例題をみてみましょう
4/1
なずな(株)から商品1,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
なお、先方負担の引取費用100円を現金で立替払いした。
① 買掛金勘定から差し引く方法
先方が負担するので、仕入には諸掛りの金額は含めません
商品を仕入れたので
仕入(費用)を増やします
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
4/1 | 仕入 費用+ | 1,000 諸掛りを含めない | 買掛金 負債+ | 900 諸掛りを引く |
現金 資産ー | 100 |
仕 入 | 買 掛 金 | |||||
4/1 諸口 1,000 | 4/1 仕入 900 | |||||
相手勘定科目は 買掛金と現金です |
現 金 | ||||||
4/1 仕入 100 |
1,000円の商品を仕入れましたが、後日、買掛金として払うのは900円です
後日、買掛金を現金で支払った場合の仕訳
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|
買掛金 負債+ | 900 | 現金 資産ー | 900 |
現金に注目すると、
仕入れた時に100円
買掛金の支払いが900円
合計1,000円の支払いです
1,000円は、引取費用を含んでないので、当社は負担していませんね
② 立替金勘定を使用する場合
買掛金から差し引くのではなく、立替金という科目を使用します
立替金は、先方が支払うべきものを、支払った場合に使用する勘定科目です
返してもらう権利があるので資産です
資産は増えたら借方です
資産のホームポジション | |||
借 方 B/S 貸 方 | |||
資 産 | 負 債 | ||
資 本 | |||
増えたら借方 | 減ったら貸方 | ||
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
4/1 | 仕入 費用+ | 1,000 諸掛りを含めない | 買掛金 負債+ | 1,000 |
立替金 資産+ | 100 | 現金 資産ー | 100 |
仕 入 | 買 掛 金 | |||||
4/1 買掛金1,000 | 4/1 仕入 1,000 |
立 替 金 | 現 金 | |||||
4/1 現金 100 | 4/1 立替金 900 |
後日、支払う買掛金は1,000円ですが、立替金を100円返してもらいます
仕訳は次のようになります
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|
買掛金 負債+ | 1,000 | 現金 資産ー | 900 |
立替金 資産ー | 100 |
現金に注目すると、
仕入れた時に100円
買掛金の支払時に900円
合計1,000円の支払いです
①の時と同じく
1,000円は、引取費用を含んでないので、当社は負担してませんね
どちらの方法で仕訳するかは、問題に必ず指示が与えられるので、それに従いましょう
売上諸掛りを支払った時の仕訳
売上諸掛りは、発送費(費用)で仕訳します
費用は増えたら借方です
費用のホームポジション | |||
借 方 P/L 貸 方 | |||
費 用 | 収 益 | ||
利 益 | |||
増えたら借方 | 減ったら貸方 | ||
次の例題をみてみましょう
5/1
商品2,900円に発送費用100円を加えた額で販売し、掛け及び売上とした。
また、同時に配送業者へ商品を引き渡し、発送費用100円は現金で支払った。
発送費用は
発送費(費用)で仕訳します
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
5/1 | 売掛金 費用+ | 3,000 | 売上 収益+ | 3,000 |
発送費 費用+ | 100 | 現金 資産ー | 100 | |
売掛金と売上の金額は 販売価格と発送費の合計額 |
売 掛 金 | 売 上 | |||||
5/1 売上 3,000 | 5/1 売掛金 3,000 |
発 送 費 | 現 金 | |||||
5/1 現金 100 | 5/1 発送費 100 |
【確認問題】
仕訳してみましょう
商品200円を掛けで仕入れ、引取費用20円は現金で支払った
商品450円に発送費用50円を加えた額で販売し、掛け及び売上とした。
また、同時に配送業者へ商品を引き渡し、発送費用50円は現金で支払った。
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