小切手は、小切手帳に金額などを記入するだけで、手軽に振り出すことができるので、預金残高を超えて振り出してしまう危険性があります
そのような場合に備えるための契約が、当座借越契約です
では、詳しくみていきましょう
当座借越契約とは
銀行で当座預金口座を設ける際、残高不足に備えて当座借越契約を結ぶことがあります
なぜなら、企業は当座預金残高を常にチェックしているわけではないので、残高が不足しているにも関わらず、小切手を振り出してしまうなどの場合があるからです
このような時、当座借越契約を結んでいれば、契約による限度額まで、銀行が立て替えてくれます
この、銀行が立て替えてくれている部分を当座借越といいます
当座借越が発生した時の仕訳と勘定残高
次の例題をみてみましょう
9/1
商品1,000円を仕入れ、代金は小切手を振り出して支払った。
なお、当座預金座高は500円であったが、借越限度額10,000円の当座借越契約を結んでいる。
下線部は
「10,000円まで銀行が
立て替えますよ」という意味です
問題の指示から、現在の当座預金勘定は下のような状態とわかります
当座預金 | |
諸口 500 | 残高 500円 |
小切手を振り出したので、当座預金(資産)を減らします
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
9/1 | 仕入 費用+ | 1,000 | 当座預金 資産ー | 1,000 |
仕 入 | 当座預金 | |||||
9/1 当座預金1,000 | 9/1 仕入 1,000 |
預金残高は500円ですが、借越限度額以内であれば、小切手を振り出せます
借方は仕入(費用)を増やします
もう一度、当座預金勘定をみてみましょう
当座預金 (増えたら借方) | |
諸口 500 | 9/1 仕入 1,000 |
当座借越残高 500円 |
最初の残高は500円ですが、
9/1に1,000円振り出したので、
当座預金残高は貸方残高となります
この部分が当座借越残高となります
当座借越契約を結んでいる場合の当座預金勘定
下のイラストを見てみましょう
① 借方残高の場合
当座預金 (増えたら借方) | |
預 入 額 | 振り出した額 (換金された額) |
預 金 残 高 |
当座預金勘定の借方に残高がある場合は、預金の残高を表しています
② 貸方残高の場合
当座預金 (増えたら借方) | |
預 入 額 | 振り出した額 (換金された額) |
借 越 残 高 |
当座預金勘定の貸方に残高がある場合は、当座借越の残高を表しています
当座預金は資産なので、貸方残高になるのは一時的なことです
決算を迎えたら、借方残高になるように適正に処理します
資産のホームポジション | |||
借 方 B/S 貸 方 | |||
資 産 | 負 債 | ||
資 本 | |||
増えたら借方 | 減ったら貸方 | ||
【確認問題】
8/1
買掛金2,000円を小切手を振り出して支払った。
なお、当座預金座高は1,000円であったが、借越限度額50,000円の当座借越契約を結んでいる。
8/1の仕訳と、取引後の当座預金残高を答えましょう
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