商品売買において、仕入れ先や得意先が複数ある場合の処理について学びます
人名勘定とは
掛取引において、取引先が複数ある場合、すべて売掛金・買掛金で処理してしまうと、内訳が分からなくなってしまいます
そのような場合に、売掛金・買掛金の代わりに、企業名などを勘定科目として使用する場合があります
このような勘定科目を、人名勘定といいます
買い手側の人名勘定の仕訳のしかた
人名勘定を使用しない場合の仕訳
次の2つの例題をみてみましょう
- なずな(株)から、商品200円を仕入れ、代金は掛けとした
- さくら(株)から、商品100円を仕入れ、代金は掛けとした
仕入代金を掛けとしたので
買掛金(負債)を増やします
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日付欄には問題番号を入れています
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
1 | 仕入 費用+ | 200 | 買掛金 負債+ | 200 |
2 | 仕入 費用+ | 100 | 買掛金 負債+ | 100 |
仕 入 | 買 掛 金 | |||||
1 買掛金 200 2 買掛金 100 | 1 仕入 200 2 仕入 100 |
借方は仕入(費用)を増やします
もう一度、買掛金勘定を見てみましょう
買 掛 金 (増えたら貸方) | |
残高 300円 | 1 仕入 200 2 仕入 100 |
残高300円がどの仕入先に対する買掛金なのかわかりませんね
仕入先とは、商品を仕入れた時の相手のことです
人名勘定を使用した場合の仕訳
上のような不便を解消するために、人名勘定を使用することがあります
先ほどの例題で人名勘定を使ってみましょう
買掛金(負債)の代わりに
なずな(株)・さくら(株)といった
企業名を勘定科目として使用します
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
1 | 仕入 費用+ | 200 | なずな(株) 負債+ | 200 |
2 | 仕入 費用+ | 100 | さくら(株) 負債+ | 100 |
買掛金の代わりに 人名勘定を使用する |
仕 入 | なずな(株) | |||||
1 なずな(株) 200 | 1 仕入 200 | |||||
2 さくら(株) 100 |
さくら(株) | ||||||
2 仕入 100 |
もう一度、なずな(株) 勘定と
さくら(株) 勘定をみてみましょう
なずな(株) (増えたら貸方) | |
残高 200円 | 1 仕入 200 |
さくら(株) (増えたら貸方) | |
残高 100円 | 2 仕入 100 |
なずな(株)に200円
さくら(株)に100円
合計300円の買掛金があるのだと分かりますね
このように、人名勘定を使用すると、仕入先ごとの残高を把握することができます
売り手側の人名勘定の仕訳のしかた
人名勘定を使用しない場合の仕訳
次の2つの例題をみてみましょう
- すずな(株)に商品200円を販売し、代金は掛けとした
- つばき(株)に商品100円を販売し、代金は掛けとした
販売代金を掛けとしたので
売掛金(資産)を増やします
日付欄には問題番号を入れています
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
1 | 売掛金 資産+ | 200 | 売上 収益+ | 200 |
2 | 売掛金 資産+ | 100 | 売上 収益+ | 100 |
売 掛 金 | 売 上 | |||||
1 売上 200 2 売上 100 | 1 売掛金 200 2 売掛金 100 |
貸方は売上(収益)を増やします
もう一度、売掛金勘定をみてみましょう
売 掛 金 (増えたら借方) | |
1 売上 200 2 売上 100 | 残高 300円 |
買い手側の時と同様、残高300円がどの得意先に対する売掛金なのかわかりませんね
得意先とは、商品を販売した場合の相手のことです
人名勘定を使用した場合の仕訳
では、買い手側の時と同様に、人名勘定を使ってみましょう
売掛金(資産)の代わりに
すずな(株)・つばき(株)といった
企業名を勘定科目として使用します
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
1 | すずな(株) 資産+ | 200 | 売上 収益+ | 200 |
2 | つばき(株) 資産+ | 100 | 売上 収益+ | 100 |
売掛金の代わりに 人名勘定を使用する |
すずな(株) | 売 上 | |||||
1 売上 200 | 1 すずな(株) 200 | |||||
2 つばき(株) 100 |
つばき(株) | ||||||
2 売上 100 |
もう一度、すずな(株) 勘定と
つばき(株) 勘定をみてみましょう
すずな(株) (増えたら借方) | |
1 売上 200 | 残高 200円 |
つばき(株) (増えたら借方) | |
2 売上 100 | 残高 100円 |
京都(株)に200円
奈良(株)に100円
合計300円の売掛金があるのだと分かりますね
このように、人名勘定を使用すると、得意先ごとの残高を把握することができます
【確認問題】
仕訳してみましょう
あやめ(株)に商品6,000円を販売し、代金は掛けとした。
なお、当社はあやめ(株) という人名勘定を使用している。
かえで(株)から商品3,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
なお、当社はかえで(株) という人名勘定を使用している。
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