仕訳に慣れてきたら、次は転記です
今回は転記について学びます
転記の目的
例えば、次の3つの取引が発生したとします
4/1
商品1,000円を販売し、代金は現金で受け取った
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
4/1 | 現金 | 1,000 | 売上 | 1,000 |
5/1
商品500円を仕入れ、代金は現金で支払った
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
5/1 | 仕入 | 500 | 現金 | 500 |
6/1
通信費200円を現金で支払った
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
6/1 | 通信費 | 200 | 現金 | 200 |
では、ここで問題です
6/1の取引後の現金の残高はいくらでしょう?
- 4/1に1,000円増加
- 5/1に500円減少
- 6/1に200円減少
よって、300円ですね
このように、発生した取引が少なければ、勘定科目ごとに集計して残高を計算するのは簡単ですが、実際は仕入や売上、費用の支払いといった取引が毎日のように起こります
取引が多くなると、仕訳だけでは各勘定科目の残高の計算が難しくなってしまいます
ですが、仕訳に加えて転記を行うことで、各勘定科目の残高が計算できるようになります
転記とは
転記とは、仕訳の内容を総勘定元帳に記入することです
総勘定元帳への記入は少し複雑なため、検定ではT字勘定に置き換えて転記していきます
下の図をみてみましょう
アルファベットのTの形をしているので、T字勘定と呼びます
記入内容は日付・相手勘定科目・金額です
相手勘定科目とは、仕訳において、借方・貸方のどちらかを見た時、もう一方の勘定科目をいいます
では、実際に転記してみましょう
T字勘定への転記の仕方
では、上で例に挙げた3つの仕訳について、転記を行ってみます
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
4/1 | 現金 | 1,000 | 売上 | 1,000 |
転記の しかた | 現金T字勘定の借方 相手勘定科目は売上 | 売上T字勘定の貸方 相手勘定科目は現金 |
4/1の仕訳を転記します
このように、仕訳の借方記入はT字勘定の借方に、貸方記入はT字勘定の貸方に、日付・相手勘定科目・金額を記入します
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
5/1 | 仕入 | 500 | 現金 | 500 |
転記の しかた | 仕入T字勘定の借方 相手勘定科目は現金 | 現金T字勘定の貸方 相手勘定科目は仕入 |
5/1の仕訳を転記します
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
6/1 | 通信費 | 200 | 現金 | 200 |
転記の しかた | 通信費T字勘定の借方 相手勘定科目は現金 | 現金T字勘定の貸方 相手勘定科目は通信費 |
6/1の仕訳を転記します
下の図は
6/1時点での現金のT字勘定です
現 金 | |
4/1 売上 1,000 | 5/1 仕入 500 |
6/1 通信費 200 | |
残高 300円 |
3日間の取引がT字勘定に記入されていて、借方と貸方の差額により残高は300円と計算できます
仕訳だけ行い、転記を忘れると、正確な残高の把握ができなくなるため、仕訳と転記は必ずセットで行います
相手勘定科目が複数ある場合
仕訳には、下のように相手勘定科目が複数ある場合があります
10/3
通信費10円と消耗品費100円を、ともに現金で支払った
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
10/3 | 通信費 | 10 | 現金 | 110 |
消耗品費 | 100 |
現金の相手勘定科目は
通信費と消耗品費です
このような場合、下のように転記します
通 信 | 費 | 消 耗 品 | 費 | |
10/3 現金 10 | 10/3 現金 100 |
通信費および消耗品費は、T字勘定の借方にそれぞれ転記し、相手勘定科目は現金となります
現金は、T時勘定の貸方に転記し、相手勘定科目が複数あるので諸口と記入します
現 金
10/3 諸口 110 相手勘定科目が複数ある場合は諸口と記入 |
現金は、T時勘定の貸方に転記し、相手勘定科目が複数あるので諸口と記入します
諸口とは、勘定科目が複数であることを示しているだけで、勘定科目ではありません
【確認問題】
1.次の仕訳を転記してみましょう
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
---|---|---|---|---|
5/3 | 通信費 | 300 | 現金 | 300 |
2.次の仕訳を転記してみましょう
日付 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
10/5 | 交際費 | 200 | 現金 | 500 |
消耗品費 | 300 |
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