企業は、お金を銀行から借りたり、取引先に貸したりすることがあります
それでは、借りる側と貸す側のそれぞれの立場の仕訳を順番に見ていきましょう
借入と貸付の取引の流れ
お金を借りたり、貸したりする場合の流れは下のイラストのようになります
① お金を借りる
- 債務者は返す義務がある人
- 債権者は返してもらう権利がある人
借用書は、金額や返済方法などが書かれた書類で、返済を約束しますという証明書です
担保って?
担保とは、お金を返せなくなった時のために預ける資産のことです
債務者はお金と引き換えに、借用書と担保を預けるんですね
② 利息を払う
利息とは、お金を貸してもらうというサービスに対する利用料です
債務者は、借りた金額だけを返すのではなく、利息も支払います
タダでは借りれないんですね…
そうですね
借用書の記載に沿って利息を支払います
③ お金を返す
借用書に書かれている返済期限がきたら、お金を返して、預けていた借用書と担保を受け取ります
借入金の仕訳(債務者:借りる側)と利息の計算方法
現金などを借り入れたときは、借入金で仕訳します
借入金は、現金などを返す義務なので負債です
負債は増えたら貸方です
負債のホームポジション | |||
借 方 B/S 貸 方 | |||
資 産 | 負 債 | ||
資 本 | |||
減ったら借方 | 増えたら貸方 | ||
また、債務者(借りる側)が支払う利息は、
支払利息で仕訳します
支払利息は費用です
費用は増えたら借方です
費用のホームポジション | |||
借 方 P/L 貸 方 | |||
費 用 | 収 益 | ||
利 益 | |||
増えたら借方 | 減ったら貸方 | ||
借入を行った時の仕訳
次の例題をみてみましょう
5/1
なずな(株)は、 すずな(株)へ借用証書を渡し現金1,000円を借り入れた
なずな(株)とすずな(株)の関係 | |
なずな(株) | 債務者(借りる側) |
すずな(株) | 債権者(貸す側) |
借り入れを行ったので、
借入金(負債)を増やします
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
5/1 | 現金 資産+ | 1,000 | 借入金 負債+ | 1,000 |
現 金 | 借 入 金 | |||||
5/1 借入金1,000 | 5/1 現金 1,000 |
借方は現金(資産)を増やします
利息を支払った時の仕訳
次の例題をみてみましょう
6/1
なずな(株)は、 すずな(株)へ借入金の利息10円を現金で支払った
利息を支払ったので、
支払利息(費用)を増やします
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
6/1 | 支払利息 費用+ | 10 | 現金 資産ー | 10 |
支払利息 | 現 金 | |||||
6/1 現金 10 | 6/1 支払利息10 |
貸方は現金(資産)を減らします
・利息を自分で計算する場合
次の例題をみてみましょう
7/31
なずな(株)は 、すずな(株)へ借入金10,000円の利息3ヶ月分を現金で支払った。
なお、借入時に利息年4%を3ヶ月ごとに支払う旨の契約を行っている。
まず、利息を計算してみましょう
利息年4%とは、1年で4%の利息という意味です
1年分の利息はいくらですか?
10,000円(借入額)× 4% で
400円です
そうですね!
では3ヶ月分の利息の計算です
1年は12ヶ月だから…
1ヶ月分を出したいのですが、割り切れません…
そうですね
先に1ヶ月分を出そうとして、
400円を12で割ってしまうと割り切れません
400円 × 3ヶ月/12ヶ月 ということですから、400 × 3をしてから12で割りましょう
はい!
100円です
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
7/31 | 支払利息 費用+ | 100 | 現金 資産ー | 100 |
支払利息 | 現 金 | |||||
7/31 現金 100 | 7/31 支払利息100 |
支払利息(費用)を増やして、
現金(資産)を減らします
借入金を返した時の仕訳
次の例題をみてみましょう
8/1
なずな(株)は、 すずな(株)に借りていた1,000円を現金で返済した
返済したので、
借入金(負債)を減らします
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
8/1 | 借入金 負債ー | 1,000 | 現金 資産ー | 1,000 |
借 入 金 | 現 金 | |||||
8/1借入金 1,000 | 8/1 現金 1,000 |
貸方は現金(資産)を減らします
貸付金の仕訳(債権者:貸す側)
現金などを貸し付けたときは、貸付金で仕訳します
貸付金は、現金などを返してもらう権利なので資産です
資産は増えたら借方です
資産のホームポジション | |||
借 方 B/S 貸 方 | |||
資 産 | 負 債 | ||
資 本 | |||
増えたら借方 | 減ったら貸方 | ||
また、債権者(貸す側)が受け取る利息は、
受取利息で仕訳します
受取利息は収益です
収益は増えたら貸方です
収益のホームポジション | |||
借 方 P/L 貸 方 | |||
費 用 | 収 益 | ||
利 益 | |||
減ったら借方 | 増えたら貸方 | ||
貸付を行った時の仕訳
次の例題をみてみましょう
5/1
すずな(株)は、なずな(株)へ現金1,000円を貸し付け、借用証書を受け取った
なずな(株)とすずな(株)の関係 | |
なずな(株) | 債務者(借りる側) |
すずな(株) | 債権者(貸す側) |
貸付を行ったので、
貸付金(資産)を増やします
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
5/1 | 貸付金 資産+ | 10,000 | 現金 資産ー | 10,000 |
貸 付 金 | 現 金 | |||||
5/1 現金 1,000 | 5/1 貸付金1,000 |
貸方は現金(資産)を減らします
利息を受け取った時の仕訳
次の例題をみてみましょう
6/1
すずな(株)は、なずな(株)への貸付金の利息10円を現金で受け取った
利息を受け取ったので、
受取利息(収益)を増やします
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
6/1 | 現金 資産+ | 10 | 受取利息 収益+ | 10 |
現 金 | 受取利息 | |||||
6/1受取利息10 | 6/1 現金 10 |
借方は現金(資産)を増やします
貸付金の返済を受けた時の仕訳
次の例題をみてみましょう
8/1
すずな(株)は、なずな(株)に貸し付けていた1,000円の返済を受け、現金で受け取った
返済を受けたので、
貸付金(資産)を減らします
仕訳と勘定への転記は次のようになります
日 付 | 借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 |
8/1 | 現金 資産+ | 1,000 | 貸付金 資産ー | 1,000 |
現 金 | 貸 付 金 | |||||
5/1 貸付金1,000 | 6/1 現金 1,000 |
借方は現金(資産)を増やします
【確認問題】
仕訳してみましょう
当社は、現金10,000円を借り入れ、借用証書を渡した
当社は、借入金10,000円を現金で返済した。
なお、返済時に3ヶ月分の利息を合わせて現金で支払った。
利率は年5%とする。
当社は、たんぽぽ(株)に貸し付けていた30,000円の返済を受け、当座預金に振り込まれた旨の通知を銀行より受け取った。
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